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・ 2008年4月12日

「えっ!? CMSって、ブログと違うんですか?」という記事

発言者:kimino、カテゴリー: in パソコン・インターネット

 @ITの記事「HTMLを知らない人でもWebサイトが作れるCMSとは?」を読んでみました。
 「えっ!? CMSって、ブログと違うんですか?」という項から始まります。
 ブログとの違い、、、本質的にはないですね。同じような目的であり、同様の手段を使いますから。CMS、ブログ双方の高機能化に伴い、従来住み分けていた機能も表面的には重複してきています。
 本質的にも、表面的にも違いがないならば、何も違いがないじゃないか!と思われるかもしれませんが、車の種類にも軽自動車からバス、トラックまであるように、実装されている機能や実現手段が違います。具体的には中規模以上のサイトのCMSとして実用に耐えるかどうか、というところに差があると思います。スタート時点からの発想の違いが表面的に高機能化しても機能、操作性の根底に息づいているというところでしょうか。記事にもありますが、ブログ系は複数のブログが使えるようになって、それらの情報統合ができるようになっても、あくまで個人の時系列な情報の発信中心に構成されているということ。それに対し当初からCMSと呼ばれているものは、ポータルサイトの作成を目的としたものであり、関連サイトや、旧サイトなど自サイト以外へのリンクなどの情報統合と、人手に余る膨大な階層化されたコンテンツの管理、編集するユーザーと権限の管理、デザインの柔軟性や変更機能を得意としています。いち早くRSSのフィーダー、リーダーが機能として取り込まれることからもブログ系との違いが明確ですね。
 機能的にもCMSのほうが柔軟で高機能な設計をされていることが多く、ブログ機能の実現も比較的簡単ですので、i-SITEを始めブログ機能が追加で実装されているものも多いです。 さらに動的構成が可能なCMSにはCGI的な機能(フォームメール、アンケート送信やDBとの連携)が求められることもあります。
 CMSに含めることも多いXOOPSなどのコミュニティサイト作成ツールは、手軽に扱えることは魅力ですが、ユーザー管理、階層化されたコンテンツの管理が苦手で、デザインの柔軟性がちょっと乏しい気がします(いろいろ機能追加可能なのは面白いですね)。WikiなどもWikipediaレベルになると大規模サイトも可能ですが、ちょっと用途が違う気がします。
 知っている限りでは、ブログ系や小規模なコミュニティサイト系のツールを使うと中規模以上のサイト運用は無理があると思います。このあたりが「CMSは無償から高いものまで、ピンキリ」となっている現状であり、「高いもの」が生き延びている主たる理由です。無償のものも趣味で遊ぶ分にはいいですが、責任ある立場で管理運用する場合にはトラブル対策などのメンテナンスを考えると手が出しにくいでしょう。無償製品を導入する際のサポート会社があっても初期導入、コンテンツ移行などのTCO(Total Cost of Ownership) を考えると「高いもの」との差が小さくなり、カスタマイズ、高機能化を求めると逆転現象も生じがちです。ちょっと大規模なサイト(千ページ超)ですと業者に委託すると移行作業だけでも数百万円になります(ちなみにi-SITEご購入ユーザーでは自前での移行作業をされる場合が多いです)。
 「高いもの」も何千万円もする製品は、機能に圧倒的な差がないかぎり次第にユーザーから敬遠されていくでしょう。かと言って現時点では他社も含めi-SITE以下の値段も難しいところです。CMS製品の性格上ユーザーの啓蒙活動(営業と言ってしまえばそのまんま)やコンサルタント的な工数、サーバーメンテナンスのサポートなど売り切りが難しい面が多いからです。他社を含めCMS製品も全体にパッケージ化が進み手離れが良くなってきていますので、普及に伴い徐々に値段は下がってくるとは思いますが、ローカル環境向けのコンシューマ製品レベルの数万~数十万円では正直ペイしないと思います。高額商品への呼び水的な手法は除き、ペイしない=どこかで破綻、もしくはサポートなし、が考えられますので何年も提供できている製品かどうかにご注意ください。
 ASPの場合には上記の手数が不要で、比較的安価に提供できる場合がありますので狙い目かもしれません。

 

飲むが吸わないK.N.

2008年4月12日